フラジェントル

YUKI&ASUKAによるリレー小説

第5話 「Lune」

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目をあけると空はまだ夜だった。
着陸した大きな木がある草原でいつの間にか眠ってしまっていた少年は一面星ばかりの美しい夜空を眺めながら考えていた。

(ずいぶん眠っていたのに…まだ夜だ…。
あの大きな月……ということはここが学校の本に載っていた夜の星、リュヌ…?
あぁ、僕は本当に外の世界へ着くことができたんだ…。)

ゆっくり起き上がり目先の景色をみると、この草原の丘を少し越えた先に温かい色の光が集まる街の様なものが見えた。
少年はそこにたくさんの人々が居るのかと思うと途端に嬉しくなったのか元気よく立ち上がりザクザクと草を踏み足早に走り出した。

賑やかな声に誘われるように入口をまたぐアーチをくぐり抜けると、そこには3階建てくらいの柔らかい色使いで塗られた建物が並ぶ商店街に着いた。
建物の1階はほとんどが出店で野菜や果物を売る店や花屋のようなたくさんの店が並び、2階から3階にかけては向かいの建物との間にロープの様な紐を垂らしそこに洗濯物や赤や黄色のカラフルな布切れをかけてある様子から1階より上は居住スペースになっているようだった。
(わぁ…きれいな街……)
少年が街を眺めていると不意に視界に影ができ、ふわりと髪に触れる感触に少し驚いた表情を浮かべ影の方を見ると背の高い男性が立っていた。
「おや、驚かせたかい?君の髪に葉っぱがついてたのが気になってさ」
「わ、ありがとうございます…!」
少年が慌てて礼を言うと男性はいいよ、と言ってニコと笑い片手で合図しては行き交う人ごみに消えて行った。
男性の背中に会釈をして見送ると気づけば少年の心は嬉しい気持ちで満たされていた。
その後も一歩あるけば立ち並ぶ店の店員や遊んでいる子供達に声を掛けられた。
(この星の人はみんな明るくて親切な人ばかりだなぁ…)
そんな事を思いながら星屑の夜空を見上げていると

ドン!

目の前には買い物を済ませたと思われる袋が破け、果物などの食材がゴロゴロと転がってしまい、その場に転んでしまった少女がいた。
少年は慌てふためきとりあえず座り込む少女に声をかけた。
「わ、ご、ごめんね怪我はない?!」
「……別に平気…それより…買ったやつ…」
「え、あ!ごめん!」
少年は少女の言葉を聞くと再び慌てて辺りを見渡すと急いで転がった食材を拾い集めた。