フラジェントル

YUKI&ASUKAによるリレー小説

第15話 「商店街」

翌日、目が覚めるとエマは上半身を起こしてボーっとした表情で天窓を眺めた。
空は相変わらず黒いびろうどに白い星がちりばめられた夜空だけが広がっていた。
(ルテ…)
綺麗な星色の翼をつけたルテと一緒に星空を飛び回った夢をみた。
夜空ばかりをみていたエマの頭の中はいつしかルテの事でいっぱいになっていた。

足早に用意を済ませたエマは駆け出すように家をでた。
エマの眉に少しかかる程の前髪と、ふわっとした襟元につくほどの後ろ髪と同じ長さの耳を隠す横の髪が優しく風に靡いていた。
草原の丘を目前とするエマのうす茶色の瞳は、まるで星が入った様にとてもきらきらとしていた。
「ルテ!」
「エマ、待ってたよ!」
「ふふ、でも今日は昨日より早くついたはずよ?だってほら、あそこにいる二号目の星屑列車がまだカシオペア駅を出ていないわ」
「あ、本当だ、でもエマが来るのが待ち遠しくてさ!ねえエマ、今日は商店街へ行こうよ」

ルテの言葉の一つ一つがエマの表情を柔らかくしていった。
そんなルテの誘いを断るはずもなくエマはうん、と言って二人は商店街へと向かった。

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商店街は立ち並ぶ建物の間にあるオリオン座のベルトを囲むジェミニの様な形をした背の高い街頭が眩く街全体を照らしていた。
街中はいつもと変わらず賑やかで、子供たちが歩きながら星めぐりの口笛を吹いたり、赤ちゃんを抱いた少し若いお母さんたちが集まって話をしていたり、まるで街じゅうの人がここに集まっているかのようだった。

賑わう人々の中、ルテはエマの手を引いて街に入るなり小物や装飾品を売る店で何かを物色し始めた。
「ねえエマ、この指輪エマに似合いそう!」
そういってルテが差し出した指輪は、夜のように真っ黒な盤の上にきらきらと星屑と似た白い石をちりばめた綺麗な指輪だった。
他にも稲妻の形や月の形をした青白い石でできたネックレスや赤い実に似せて作った髪飾りなど、いくつかエマに見せては嬉しそうに笑っていた。
エマもなんだか気恥ずかしい反面とても嬉しそうにしていた。

一通り店内を見た二人は話をしながら外にでた。
暫く歩いていると小さく声が聞こえてきた。