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フラジェントル

YUKI&ASUKAによるリレー小説

第21話 「葛藤」

帰り道、エマは見慣れた星空を見ながらあえてなにも考えないようにした。ようやく家に着くと、気だるく重い足取りで自分の部屋へ向かった。ベッドを見ると天窓から月明かりが差し込む部分にきらりと光るものが見えた。 「………!」 エマはベッドへ腰を掛け、そ…

第19話 「現実」

ルテの翼は真っ白で、時折幼い頃に見た絵本にあった虹のように美しかった。そしてエマをしっかりと支えて飛ぶルテの表情は凛としていて、今まで無邪気な笑顔をみせていたとは思えないほどに強くまっすぐな眼差しだった。星屑列車の軌跡をなぞる様にスコルピ…

第17話 「aimable」

「じゃあまた明日ね?」「うん、また明日」 いつものようにふたりは草原で別れた。帰っていくエマの背中、時々振り向いて手を振る少しさみしそうなはにかんだような表情。にっこりと笑って見送るルテの心はいつもきゅっと摘まれている様な感覚を覚えていた。…

第15話 「商店街」

翌日、目が覚めるとエマは上半身を起こしてボーっとした表情で天窓を眺めた。空は相変わらず黒いびろうどに白い星がちりばめられた夜空だけが広がっていた。(ルテ…)綺麗な星色の翼をつけたルテと一緒に星空を飛び回った夢をみた。夜空ばかりをみていたエマの…

第13話 「懐中時計」

「あ、もうこんな時間だ…ねむらないと」こんなに夢中になって話してしまったかと思うとエマは急に気恥ずかしくなり少し慌てて立ち上がった。 ゴトッ エマは落とした物を急いで拾うと、ゆっくりとまた座りじっとそれを見つめた。それはいつもエマが身に着けて…

第11話 「食事」

「…ただいま」「おじゃましまぁす!」 家のドアを開けながら二人が言うとエマの母親は手際よく夕飯の支度をしながら嬉しそうにおかえりなさいと言った。二人はとりあえず荷物を置き、食事をするための支度をして席に着いた。テーブルにはいつもよりも随分多…

第9話「鼻歌」

エマはまるて不意に灯った頬の熱を冷ますかのように夜風を切って走っていた。(なに赤くなってんだろ…) バタン 家に着くと包丁のトントンというリズムを刻み上機嫌に鼻歌を歌いながら夕飯の支度をしている母がいた。 「…ただいま……」「あらおかえりなさい、今…

第7話 「再会」

エマはいつもの草原へ向かい歩いていた。ザクザクと草を踏みながら頭は反対にいつもとは違うことを考えていた。(ルテ……だっけ…あの人も夢の中ではこの草原に…)手前から大きな木の姿が見えてくると、どことなく歩みを遅らせていた。(もしかしたら…)トクトクと…

第5話 「Lune」

・・・・・・・・・・目をあけると空はまだ夜だった。着陸した大きな木がある草原でいつの間にか眠ってしまっていた少年は一面星ばかりの美しい夜空を眺めながら考えていた。 (ずいぶん眠っていたのに…まだ夜だ…。あの大きな月……ということはここが学校の本…

第3話 「写真」

階段を降りていくと、ぼんやりと注ぐ白熱灯の温かい光と夕飯の香りに包まれたいつもの食卓へと着いた。パンやスープが並べられている食卓から改めて周りを見渡すと、室内は母親の趣味で飾られた家具や色付きガラスの空きビンや観葉植物の土に星型やハート型…

第1話 「青色特急」

いつもとかわらない星屑をちりばめた空には汽笛を鳴らす午後6時発の青色特急が走っていた。ほぼ毎日のように訪れる馴染みの草原に寝転がり数時間、この列車を見送ってから帰宅することがエマの日課になっている。整列した星屑の線路の上をキラキラと光の道筋…