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フラジェントル

YUKI&ASUKAによるリレー小説

最終話「星が歌う」

いつものようにエマは買い物をしていた。「りんご二つと、あと、ハーブもね」「はいよ。いつもありがとな」代金を払い、笑顔をみせるとエマは店を出て行った。それを見送ると店の主人は隣に立っている妻に話しかけた。「なんだかなぁ。エマもよく笑うように…

第20話 「またね」

「話があるんだ」いつものように草原で話していると、神妙な顔つきでルテが言った。エマは話の内容に予想がつかず、なぁに?と首をかしげた。 「今日ソレイユに帰る」 ルテは立ち上がって顔を伏せた。エマの顔を直視するのが恐かったのだ。「まさか。ルテ、…

第18話 「星屑の湖」

ソレイユでは、太陽が輝き、光に満ちている。この星の建物は白で統一されていて、中心には大きな神殿があった。ここの人々は翼が現れるとこの神殿で儀式を行い、使命をうける慣わしだった。 年の近い友人が次々と神殿へ行く中、ルテは彼らの背中を見ることし…

第16話 「ひみつ」

店と店の間の細い路地に、二人の人がうずくまって座っている。一人は子供で、見たところ親子のようだ。裾が破けたズボンを穿き、ぼろの布切れをまとっている。母親と見える人が、しゃがれた声で話しかけてきた。 「そこのお方、聞いてください。私たちは何日…

第14話 「空を飛べたら」

翌日もその翌日もエマはいつもの時間に草原へ行った。そこへ行けばルテがいた。ひとりになりたくて通っていた場所が、一人の場所ではなくなっていた。しかしその事を嫌に思う気持ちはなかった。彼の言葉にはいつも嘘がなく、別世界の話は興味深かった。エマ…

第12話 「太陽」

目をつむって、無理やり寝ようと試みた。(だめだ、眠れない…) こんな時は風にでもあたって気分転換した方が良い。エマは出窓から屋根へ登った。するとそこには先客がいた。空を見上げているのはルテだった。片膝を抱えて座り、白銀の髪が月に照らされて透き…

第8話 「エマとルテ」

エマは怪訝な顔をした。こちらの機嫌は気にとめる様子もなく、常にルテは無邪気だった。「この街の人は皆いい人だね」 その言葉を聞いて、疑うようにさらに眉をしかめた。「そんなの上っ面だけよ。まさかあなた信じてたの?」「え?街の人はみんな優しくして…

第6話 「現」

「はい、これで全部だよね」差し出された果物を受け取りながら少女は初めて少年の顔を見た。 少女は目を見開き、驚いた表情をした。「あなたは…」彼は満面の笑顔をむけた。「僕の名前はルテ。君は?」 少女はルテから目をそらすと、黙って歩いていってしまっ…

第4話 「流れ星」

母に父親のことをだずねると決まってこうだ。「お父さんはとても優しくて素晴らしい人だったのよ」その話をする時、母のお腹に霧がまかれたようにフラジェントルが浮かび上がる。すべて作り話なのだ。そうであってほしかったという母の願望にすぎないのだ。…

第2話 「帰宅」

商店街を抜けて少し細い路地をはいると、赤いウロコ屋根の小さな家がある。古いのか、窓の立て付けが悪く、少しゆがんでいる。エマは丸い扉を開け、家に入った。扉についていた鈴がシャラシャラと鳴る。 「あら?エマ帰ったの」いつもの様に母親は夕飯の支度…